冷たい雪の上で横たわる君を見た時は、幻かと思ったんだ。
銃声が響いた瞬間、何かが終わった。僕は、どうすれば。


彼女が好きだと言っていたイギリスの蒼い海に亡骸を沈める事にした。どこからか歌が聞こえる。
それが僕の名前を呼ぶ君の声だったらどんなによかった事か。(現実逃避、なんて僕らしくない)
彼女が好きだと言っていた紅い華を、海面に散らかせるとそれは光に反射してキラキラと輝く。
本当にあっという間だった。君がいなくなる瞬間、銃声が鳴り響き、そう。心臓を一抜き。
真っ白な雪の上には紅が流れて、彼女はもう覚めない眠りについていた。幻じゃなかった。
どんなに身体を揺らしても、名前を呼んでも君は黙ったまま。どうして僕を見ないの。

身体が水面に浸かる。まだこの季節は冷たくて、僕の指が凍りそうだった。
だけど君はもっと冷たい。手を離すと静かに身体は沈んでいく。蒼く澄んだ海だから、沈むまでがよく見える。
彼女の姿が見えなくなった後、聞こえていた歌も止まり世界で僕が1人だけになった気がした。

もう君はいない。僕は今ここで1人。ずっと、待ってるんだ。もう戻らない、君を。



氷の上に立つチェロス

水面に映る僕の顔は醜く歪み、戻って来ない君を恋しがる。



 
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